「黒い錠剤 スウェーデン国家警察ファイル」リパスカル・エングマン:著 早川書房
ストーリー
ヴァネッサ・フランクの元に、女性が惨殺された事件が舞い込む。
恋人の服役中ギャング、カリムの仮釈放中の仕業だとみていたが
報道デスクのジャスミナ・コバックが事件当日カリムからレイプ被害にあったのを
バネッサに打ち明けたことで事件は急展開を迎える。
先進国で暗躍する「インセル」の社会問題がテーマのクライムミステリー。
プラス情報
スウェーデンでのベストセラー〈ヴァネッサ・フランク〉シリーズ第2弾!日本初上陸
↓ オススメのハヤカワ・ミステリ
読むネコポイント
題名が昭和の松本清張みたいでエモさを感じ、読んでみました。
事前情報は管理人きょまタローのいつもの如く、全く無い状態でまっさらな状態。
早川ミステリーは最近ポップな感じになってると認識していたので
表紙もなんだか古い感じ。アラフィフ以上は懐かしいのでは無いでしょうか。
そこまで期待していなかったのですが、読み始めると・・・
まず、読みやすいです。
北欧やドイツのミステリー小説の印象が
くらい
描写が粘着質
なので、本が厚い w
だったのですが、この本はサクサク読める稀有なタイプです。
ミレニアムみたいな感じ。
登場人物ごとの時系列も、分かりやすく
カリムと恋人エメリの関係や、彼女の殺人事件からスタートし
同時に、報道機関でジャスミナ・コバックの置かれた立ち位置から、レイプ被害者への移行や
ヴァネッサ・フランク、同僚のオーヴェや上司ミカエルの関係性
などなど上手に違和感なく進行していきます。
物語のキーマンである、ニコラス・パレデスの存在も見逃せません。
ここからネタバレあります!!
TV司会者オスカル・ショーランデルの不倫相手ラケルの殺害事件が起き、
犯人はショーランデルで捜査は進んでいたにも関わらず、カラムに続き又も不発。
ヴァネッサ・フランクの勘がカリムの事件と繋がりを見出しますが、上層部にスルーされます。
同僚のオーヴェが未明の犯人に撃たれ、
とうとうヴァネッサの味方は、社会の日陰で生きるニコラスだけに。
どうするヴァネッサ!!
とても気丈な女性ですが、時々心の中が空っぽになり自暴自棄な行動に走ったりで、
中年女性の悲哀がたっぷり伝わってきます。
ちなみに、ヴァネッサは金髪碧眼、スリムな美女ですが、そんな彼女が完璧ではないところがいいのかもしれません。
そして、ヴァネッサとニコラスの関係は、シリーズ第一弾(日本未発売)を読まないと分かりませんが
同志の絆と共に、お互い惚れているのは確実です。
が、
大人の事情で、ニコラスはイギリスへ旅立ち再出発することが決まっています。
シリーズ第三弾の刊行が待たれますね〜!
本国では5弾まで発売済みだそうなので、日本でも人気が出れば1から読めるはず。
オレンジ早川さん、期待しています!!