「閉じ込められた女」ラグナル・ヨナソン:著 小学館文庫
ストーリー
アイスランド東部、高原地帯の人里離れた農場。
クリスマス直前でその準備に忙しくしていた夫婦の元に、急な訪問者が。
農場主のエイナールは、レオと名乗るその男を招き入れるが、妻のエルラは釈然としない。
レオは一体何のために真冬の田舎の地を訪れたのか?
一方レイキャヴィーク警察の女性警部フルダは、若い女性の失踪事件を追意かけていたが、
心の中は家庭の問題で占められいた。娘のフルダが引きこもってしまったのだ。
夫のヨンの無責任な態度に憤りつつも、クリスマスパーティーで全てが相殺されると期待していたが、、
アイルランドの過酷な冬を背景に、首都レイキャビークと荒涼感漂う東部ハイランドの農家で起こる
それぞれの事件がリンクしつつ壮絶な結末に進む、フルダの哀しき最終作。
プラス情報
映像化! 女性警部フルダ・シリーズ
第1作『闇という名の娘』
第3作『閉じ込められた女』
読むネコポイント
もうね、、涙も出ないです。 哀しすぎて。
このフルダ・ヘルマンスドッティル刑事の三部作の最終章になるわけですが
時系列で言うと、三部作のなかの一番最初に起こったことが描かれています。
フルダの壮絶な過去の内訳が全てここから始まっている、プロローグです。
フルダの個人的な家庭の内容や、追っている事件と、
東部ハイランドの農家で進む話が、同時に進んでいきます。
重すぎる内容にかかわらず、2つの事件は読みやすく進んでいきます。
登場人物がミニマムにまとめられており、無駄がないからだと思われます。
それぞれの事象は込み入ってはいない上、著者の力量でうまく2つの事件が絡み合い一気にラストへ。
救いはありません。
ちょっとしたブレイクもないです。
でも、硬派ならではのフィクション感が漂い、3部作通して魅力的な作品と言えます。
殺人事件のトリックを求めるよりも、リアリティある心情、人の性(さが)のようなものが秀逸に描かれ胸に残ります。
1作目からでも、3作目最後からでも、問題なく読めます。
個人的には3部作とも「題名」が非常にフック的に、いいと思います。
特に1作目「闇という名の娘」はタイトルで「読み!!」と思いました。