【 閉じ込められた女 】哀しすぎるアイスランド女性刑事フルダ3部作プロローグ

閉じ込められた女,小学館文庫ラグナル・ヨナソン著,吉田薫翻訳2020/8/10

「閉じ込められた女」ラグナル・ヨナソン:著 小学館文庫

ストーリー

女性警部フルダ・3部作シリーズの完結編。

アイスランド東部、高原地帯の人里離れた農場。

クリスマス直前でその準備に忙しくしていた夫婦の元に、急な訪問者が。

農場主のエイナールは、レオと名乗るその男を招き入れるが、妻のエルラは釈然としない。

レオは一体何のために真冬の田舎の地を訪れたのか?

一方レイキャヴィーク警察の女性警部フルダは、若い女性の失踪事件を追意かけていたが、

心の中は家庭の問題で占められいた。娘のフルダが引きこもってしまったのだ。

夫のヨンの無責任な態度に憤りつつも、クリスマスパーティーで全てが相殺されると期待していたが、、

アイルランドの過酷な冬を背景に、首都レイキャビークと荒涼感漂う東部ハイランドの農家で起こる

それぞれの事件がリンクしつつ壮絶な結末に進む、フルダの哀しき最終作。




プラス情報

映像化! 女性警部フルダ・シリーズ
第1作『闇という名の娘』

闇という名の娘:小学館文庫2019/12/6,ラグナル ヨナソン:著,吉田薫:翻訳

「闇という名の娘」 アイスランドの女性警察官64才、衝撃の始まり

2020年2月21日
第2作『喪われた少女』
喪われた少女小学館文庫文庫–2020/8/5ラグナル ヨナソン:著、吉田 薫:翻訳

【 喪われた少女 】ダークが深まるアイスランド女性刑事フルダのミステリー第2段

2021年7月4日
第3作『閉じ込められた女』



読むネコポイント

もうね、、涙も出ないです。 哀しすぎて。

このフルダ・ヘルマンスドッティル刑事の三部作の最終章になるわけですが

時系列で言うと、三部作のなかの一番最初に起こったことが描かれています。

フルダの壮絶な過去の内訳が全てここから始まっている、プロローグです。

フルダの個人的な家庭の内容や、追っている事件と、

東部ハイランドの農家で進む話が、同時に進んでいきます。



重すぎる内容にかかわらず、2つの事件は読みやすく進んでいきます。

登場人物がミニマムにまとめられており、無駄がないからだと思われます。

それぞれの事象は込み入ってはいない上、著者の力量でうまく2つの事件が絡み合い一気にラストへ。

救いはありません。

ちょっとしたブレイクもないです。

でも、硬派ならではのフィクション感が漂い、3部作通して魅力的な作品と言えます。

殺人事件のトリックを求めるよりも、リアリティある心情、人の性(さが)のようなものが秀逸に描かれ胸に残ります。

1作目からでも、3作目最後からでも、問題なく読めます。

個人的には3部作とも「題名」が非常にフック的に、いいと思います。

特に1作目「闇という名の娘」はタイトルで「読み!!」と思いました。