【特捜部Q―アサドの祈り―】アサドの過去と家族が明白になる

特捜部Q―アサドの祈り― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)2020/7/7ユッシ エーズラ・オールスン

「特捜部Q―アサドの祈り―」ユッシ・エーズラ・オールスン:著 早川書房

ストーリー

キプロスの浜辺に、難民とおぼしき老女の遺体が打ち上げられた。新聞で「犠牲者2117」として紹介された彼女の写真を見たアサドはうちのめされ、慟哭する。彼女は、彼が失った最愛の家族とのつながりを持つ人物だったのだ。アサドはついに自らの壮絶な過去を特捜部Qに打ち明ける。一方、Qには若い男から殺人予告の電話がかかってきた。当初はいたずらかと思われたが本気のようだ。Qの面々は、男が凶行にいたるまえにその所在をつきとめられるのか?ついにアサドの素性が明らかになる、シリーズ激動の第八弾!

引用: 「BOOK」データベース




プラス情報

特捜部Q―檻の中の女―
特捜部Q―キジ殺し―
特捜部Q―Pからのメッセージ―
特捜部Q―カルテ番号64―
特捜部Q―知りすぎたマルコ―
特捜部Q―吊された少女―
特捜部Q―自撮りする女たち―
特捜部Q―アサドの祈り―(2020/7)
特捜部Q―カールの罪状―(2023/6/6)[/col2]

映画化もされています

特捜部Q―カールの罪状― ハヤカワ・ミステリKindle版早川書房2023/6/6は著者ユッシ・エーズラ・オールスン著で吉田奈保子翻訳

【特捜部Q―カールの罪状―】シリーズ終わりの巻の前編

2023年8月29日




読むネコポイント

シリーズ第8段目、ついに「特捜部Q」のミステリアスなムードメイカー

謎の中東系デンマーク人”アサド”の出自が明かされるのです。

新刊が出るとウキウキするシリーズの1つである「特捜部Q」ですが、

アサドが主役で、彼の過去の全貌(多分壮絶だと想像)が解き放たれてしまう、、

読む方としては知りたいんですが、これまでアサドがデンマークに住むヘンテコなイスラム信者で

「ラクダは・・・」という聞いたこともない格言を使ったり、

信じられないくらい戦闘慣れして強かったり、

なぜデンマーク警察に雇われているのかわからなかったりで

とにかく癖が多アリな面白人物だったわけです。

そのベールが剥がされてしまう、そんな寂しさもあるんですよね。



さて、今回は殺人捜査課課長ラース・ビャアンが亡くなり、アサドは引きこもっているローセの部屋を訪ね、

とある新聞の写真記事の切り抜きを見つけたことから、話は発展していきます。

大掛かりなテロへと発展すると同時に、引きこもりゲーマー青年の殺人予告電話事件も進行する中

引きこもってしまったローセが、子豚さん体型になって「特捜部Q」に戻ってきたり

モーナとカールが飛躍して、関係が発展しまくったりと、そんな内容も絡んできます。

マーク大変です。

心の中で悪態をつきまくりながらも、でも結局全部面倒みるところが

使命感の強いデンマーク中年おじさんのいいところです。


「特捜部Q」の魅力は、ハードな内容であっても、どこか破綻した部分の見え隠れする登場人物

マーク、アサド、ローセ、ゴードンらが、正攻法じゃない攻め方で事件を追うところでしょうか。

どこかすっとぼけていて可笑しいのです。

その大真面目ですかす代表が「アサド」、その彼の過去・家族のことが語られる「特捜部Q―アサドの祈り―」読み応えあり! です。

シリーズをこれまで読んでいない人も、現在の中東情勢や移民問題など、デンマーク、ドイツにまたがり

クライム小説としても堪能できること間違いありません。