「水の葬送」は新たなペレス警部シリーズのはじまり

水の葬送、創元推理文庫2015/7/19アン・クリーヴス:著,玉木 亨:翻訳

「水の葬送」アン・クリーヴス:著 創元推理文庫

ストーリー

シェトランド諸島の地方検察官ローナは、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。被害者は地元出身の若い新聞記者だった。本土から派遣された女性警部がサンディ刑事たちと進める捜査に、病気休暇中のペレス警部も参加し、島特有の人間関係とエネルギー産業問題が絡む難事件に挑む。“シェトランド四重奏”を経て著者が到達した、現代英国ミステリの新たな高み。

引用: 「BOOK」データベース




プラス情報

大鴉の啼く冬 シェトランド四重奏
白夜に惑う夏 シェトランド四重奏
野兎を悼む春  シェトランド四重奏
春雷の光る秋 シェトランド四重奏
水の葬送 ペレス警部シリーズ
空の幻像 ペレス警部シリーズ
地の告発 ペレス警部シリーズ
(出版年月が古い順)

「青雷の光る秋 」はシェットランドの情景が浮かぶ警察ミステリー

2019年11月8日
地の告発:創元推理文庫日本語2020/11/30アン・クリーヴス:著,玉木亨翻訳

【 地の告発】ペレスとウィローの仲が事件とリンクして深まる

2021年3月12日
 




読むネコポイント

シェトランド四重奏の4作品の後に出た、ペレス警部のシリーズです。

こちらも、シェトランド四重奏もペレス警部が主人公ではあります。

シェトランド四重奏は最後が衝撃で終わるので、今回新たな幕開けです。

警察をお休みしているペレス警部でしたが、帰省中の元島民ジェリー・マーカムの死によって、

再び事件の捜査に復帰することになります。

新しくインヴァネス署から出向してくる上司 ウィロー、地方検察官のローナ、

それぞれ女性が生々しいのは著者が女性だからでしょうか いい意味で。

ペレスは本調子ではありません、それは春雷の光る秋を読んでいただくとして

そんな彼を支えようと空回りする部下サンデイ、連れ子のキャシーとの生活、

シェトランドの変わりやすい気候のように、ペレスの内省や葛藤も不安定です。

でも、やっぱり事件にのめり込んでいくんですねー、刑事魂というやつ。

連続して起こった不可解な殺人事件が進む中

今回はシェトランドのエネルギー開発事情がうかがえ、観光だけであの奇跡のような牧歌的な島が

成り立っているのではないのが分かります。

そうですよね、シェトランドって裕福な島のイメージがありますもん。



全体に流れる陰鬱な雰囲気は、相変わらずペレスの暗さなどとリンクし、いい感じです。

決して不快ではありませんし、湿度は感じません。

トリックはどんでん返しあり。一気に読み進めてしまいます。

「空の幻像」 ペレス警部シリーズ から読み始めた自分としては、これで全ての流れがつかめました。

次作が楽しみです。