「水の葬送」アン・クリーヴス:著 創元推理文庫
ストーリー
シェトランド諸島の地方検察官ローナは、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。被害者は地元出身の若い新聞記者だった。本土から派遣された女性警部がサンディ刑事たちと進める捜査に、病気休暇中のペレス警部も参加し、島特有の人間関係とエネルギー産業問題が絡む難事件に挑む。“シェトランド四重奏”を経て著者が到達した、現代英国ミステリの新たな高み。
引用: 「BOOK」データベース
プラス情報
大鴉の啼く冬 シェトランド四重奏
白夜に惑う夏 シェトランド四重奏
野兎を悼む春 シェトランド四重奏
春雷の光る秋 シェトランド四重奏
水の葬送 ペレス警部シリーズ
空の幻像 ペレス警部シリーズ
地の告発 ペレス警部シリーズ
(出版年月が古い順)
読むネコポイント
シェトランド四重奏の4作品の後に出た、ペレス警部のシリーズです。
こちらも、シェトランド四重奏もペレス警部が主人公ではあります。
シェトランド四重奏は最後が衝撃で終わるので、今回新たな幕開けです。
警察をお休みしているペレス警部でしたが、帰省中の元島民ジェリー・マーカムの死によって、
再び事件の捜査に復帰することになります。
新しくインヴァネス署から出向してくる上司 ウィロー、地方検察官のローナ、
それぞれ女性が生々しいのは著者が女性だからでしょうか いい意味で。
ペレスは本調子ではありません、それは春雷の光る秋を読んでいただくとして
そんな彼を支えようと空回りする部下サンデイ、連れ子のキャシーとの生活、
シェトランドの変わりやすい気候のように、ペレスの内省や葛藤も不安定です。
でも、やっぱり事件にのめり込んでいくんですねー、刑事魂というやつ。
連続して起こった不可解な殺人事件が進む中
今回はシェトランドのエネルギー開発事情がうかがえ、観光だけであの奇跡のような牧歌的な島が
成り立っているのではないのが分かります。
そうですよね、シェトランドって裕福な島のイメージがありますもん。
全体に流れる陰鬱な雰囲気は、相変わらずペレスの暗さなどとリンクし、いい感じです。
決して不快ではありませんし、湿度は感じません。
トリックはどんでん返しあり。一気に読み進めてしまいます。
「空の幻像」 ペレス警部シリーズ から読み始めた自分としては、これで全ての流れがつかめました。
次作が楽しみです。