「彼は彼女の顔が見えない」アリス・フィーニー:著 創元社
ストーリー
夫婦仲の修復を図るため、夫婦アダムとアメリア、犬のボブは、週末旅行へ向かった。
努力の甲斐なく、猛吹雪で外に出られない続く不可思議な出来事で、二人の状態は最悪に。
それぞれの企てや、過去の手紙、謎の隣人、、最後に迎える衝撃の結末とは。
原題は「石、紙、ハサミ」(グー・チョキ・パー)
プラス情報
英国作家アリス・フィニー
2018年デビュー作「ときどき私は嘘をつく」 講談社文庫
2022年「彼と彼女の衝撃の瞬間」このミステリーがすごい! 海外部門7位
読むネコポイント
前作「彼と彼女の衝撃の瞬間」のスマッシュヒットで、その続編かなと思うような題名です。
が、前作の高い評価は「題にインパクトがあり良かった」というのが、バレてしまった気がする本作。
女性のイヤーーなところをねちっこく描いているのは、著書が女性ならではでしょうか。
アダムとアメリアの章、第三の人物の章(結婚記念日に妻から夫へ送る手紙)がランダムに挿入される構成です。
伏線回収のための構成なのは分かっていましたが、文中の取り消し線や(効果があまり感じられず)
反復する謎めいた言い回しなど、個人的にはダラダラとして読みにくかったです。
終わりは緩め(これは前作もそうでした W)、えっ、そんな雑に終わるんだ、とむしろそっちの方に驚いてしまった。
オレンジ各登場人物が、全員結構嫌なやつです w
読み進むうちに愛着が湧くかなと期待しましたが、それもありませんでした、、残念。
題名に直結している、彼(アダム)の人の顔が識別できない障害も
だからそれでしょうよ、、というくらいにしか話には貢献されず、、
少々期待外れ感否めないようなまま終わってしまいました。
褒めどころとしましては、著者アリスさんは、ホラーチックな男女間、女女間を描くのが上手です。
読んだ後のイヤミス感と言いますか、後味がわる〜く残る読後感が印象深いです。
本作は、とにかく文庫本の字が小さい上に、話が現在と過去を錯綜するのが煩わしく
トリック仕掛けにするためにしても「読むの面倒になってきたな、、」と思わずにはいられない進展の遅さです。
極寒のスコットランドの、地の果てのような古いチャペルが舞台で、
それも日本人の私にはイマイチ伝わらなかったのかもしれません。
管理人きょまタローは、元々女女間のしっとりねっとりした関係が苦手なため、本作はちょっと読んでてげんなりしましたが
巧みなプロットや、登場人物少なめで同じ舞台にも関わらず、上手な仕掛けが施されているので
ハマる人とそうで無い人がはっきり別れる作品かもしれません。