「彼と彼女の衝撃の瞬間」アリス・フィーニー:著 東京創元社
ストーリー
ロンドン郊外の故郷、サリー州ブラックダウン・ウッズで起きた殺人事件の担当となる。
元夫の刑事のジャック、過去の浮気相手のカメラマンリチャード、被害者のレイチェルすべての共通項はアナであった。
実家の母とは疎遠で、過去との折り合いをつけていないのは何故なのか?
過去にあった同級生を巡る衝撃の事件とはなんなのか?
彼、彼女、犯人、の目線で書かれた章が重なり、過去と現在が錯綜する。
そして、第三、第四の殺人事件が起き、ようやく犯人が暴かれたと思うとそれは・・・。
衝撃の事実とは、過去の因縁とは?!
二転三転する極上のサスペンスミステリー。
プラス情報
アリス・フィニー
英国作家アリス・フィニーの第3作目。原題「His&Hers」
2018年デビュー作「ときどき私は嘘をつく」 講談社文庫
2022年「彼と彼女の衝撃の瞬間」このミステリーがすごい! 海外部門7位
2023年【 彼は彼女の顔が見えない 】
読むネコポイント
内容が書くとネタバレしてしまうタイプのストーリーなので、あまり触れないでガイドラインを書いていこうと思います。
まず個人的には、題名が魅力的ではない、、というか、作品の方が質が上回っている印象があります。
付け加えると、表紙デザインもイマイチな感じが、、
もう少し良い邦題をつければ、読みたい欲を掻き立てるのに、少しもったいない感じがしました。
ですが、それゆえ期待値を低く読み始めたので、内容の重さに意外性があり驚きました w
女性著者ならではの、女の業がバンバン出てきます。
それが伏線になってたり、なかったりする部分もあり、「あれっ?」って箇所もしばしば。w
女子校時代のおどろおどろしい経験が全ての元凶になっているので、
女子高生のライトな残酷さなんかはリアリティがあります。
アナとジャック目線でそれぞれ語られていくのですが、二人とも嘘つきだし
メンタルの弱さを虚構で誤魔化す癖があり、真相が見えにくい w
更に、犯人目線(男か女かは不明)での語りは、要所要所都合良いところに使われ、
相対的には捉えづらく、全体像が支離滅裂な感じで進んでいきます。
そうです、正直にいうと、読みづらいのです(中盤から後半)。
途中、よく分からないままとにかく殺人が続き、アナとジャックやその周りの人たちが
わちゃわちゃごちゃごちゃし動いているので
「ええ〜ーい、各自の事情はもういいっちゅーねん」という心境に。
しかし、ジャックはボンクラだな。w
でもとにかくモテモテです。
その魅力がイマイチ伝わってこない?!のが残念ですが。
そうはいっても、結末に近づくにつれ「アナが犯人?」 いや「ジャックの方か?」
「んーーーどっちも違う??」と踊らされます。
どんでん返しが続き、怒涛のラストに突き進みます。
そういう意味では、サスペンスミステリーとしてはよく出来ているのではないでしょうか。
題名の思わせぶりな感じより、ずっと内容が濃ゆいですよ!
読み応えのある一冊です!!