「その裁きは死」アンソニー・ホロヴィッツ:著 創元推理文庫
ストーリー
ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ2作目
同性愛者の離婚専門弁護士リチャード・プライスのダイイング・メッセージ付き殺人事件が起きる。
アキラという人気女流作家と不動産開発会社経営のロックウッドの離婚訴訟に巻き込まれて殺害されたと ロンドン警視庁は踏む。
が、第二の事件が起きたことで、リチャードの不穏な過去があらわになり、捜査は思いがけず難航する。
ホームズ作品へのリスペクトや、非科学捜査、シニカルな登場人物、ロンドンの風景、メッセージ、偶然と必然、を継承した本作はやはり「正統派英国古典派ミステリー」。
元刑事のダニエル・ホーソーンと、作家のアンソニー・ホロヴィッツ(著者と同名)が殺人事件を解明する。
アンソニー・ホロヴィッツの目線で描かれる、奇人で天才肌のホーソーンとその名推理。
プラス情報
ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズは10作を予定
読むネコポイント
ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズの二作品目です。
カササギ殺人事件 の衝撃的なデビューから(「モリアーティ」「シャーロック」は除く)
ようやく本質を突くような内容に変化してきたような気がします。
大掛かりなトリックだった1作目と、あっと納得なトリックで読ませる2作目「メインテーマは殺人」。
地味目な内容が好きではない人は、本作は少し退屈に感じるかも知れません。
個人的には、落ち着いてじっくり読んだ その裁きは死 はリアリティ、実生活に基づいた、
もしかしたら起きそうな殺人事件として面白かったです。
シャーロックである主人公の探偵「ホーソーン」が実に人間味溢れてきたのも魅力。
翻弄されるパートナー、ワトソン役で作者でもある「ホロヴィッツ」も振り回されてばかりではなく
ついていけないとホーソーンに本気で諭したりするようにまで関係は進みます。
ミステリアスなホーソーン、気ままで自分勝手で差別主義的発言を繰り返す彼には
実はそれ相応な過去があるのではと、ホロヴィッツは確信します。
そんな人間関係がより細密になって話が進むと同時に
有名離婚弁護士の殺人事件が起こり、離婚訴訟をめぐるセレブ夫婦のいざこざ、
離婚弁護士の旧友との暗い過去を巡り、事件は二転三転。
今回は根性がホーソーン以上に曲がってそうなロンドン警視庁のカーラ・グランショーが
ホロヴィッツにスパイをするよう嫌がらせをしてきたり
挙げ句の果てにまた事件に巻き込まれて刺されてしまったりと、あぁホロヴィッツ、、、
そんな困難を乗り越え?! ることでホーソーンの素顔が見え隠れし始めます。
残り7作で、ホーソーンのこれまでや家族との経緯が少しづつわかってくるのでしょうね。
次作も楽しみです!!