「サイレント 上下」 カリン スローター:著 田辺 千幸:翻訳 ハーパーコリンズ・ ジャパン
ストーリー
アメリカの静かな田舎町で、湖から女性の凄惨な死体が見つかった。ナイフで刑事を刺し、逃走を図った若い男が直ちに逮捕され、犯行を自供する。だが男は留置場で自殺。両手首にインクカートリッジを突き刺し、血塗れの壁には無実を訴えるメッセージが残されていた―。地元警察の失態により緊急招集されたジョージア州捜査局特別捜査官ウィル・トレントは、男の自供に疑問を抱くが…。
引用: 「BOOK」データベース
プラス情報
【 ウィル・トレント シリーズ 】
三連の殺意 2016年
砕かれた少女 2017年
ハンティング 2017年
サイレント 2017年
血のペナルティ 2017年
罪人のカルマ 2018年
ブラック&ホワイト 2019年
贖いのリミット 2020年
読むネコポイント
すでに現在2020年で、8冊出版されているウィル・トレントのシリーズです。
途中から相棒フェイスが加わり、今ではウィルとフェイスペアのシリーズと言ってもいいかもしれません。
シリーズのスタートはかなり際どいグロめの描写が多い猟奇殺人ものでした。
が、シリーズが進むうち、読みやすく構成もしっかりした内容に整理されて来ました。
主人公のウィルは、養護施設や里子生活が長い、孤独と暴力の中で少年時代を送った
影のある「ジョージア州捜査局特別捜査官」です。
彼には、ディスレクシア(文字を読むことが著しく困難)という秘密がありました。
しかし、知的レベルは高く、捜査官としても優秀なため、ほとんどの人は気が付きません。
今回のシリーズ「サイレント」では、お互い惹かれ合いながら、お互いの境遇ゆえ、なかなか進展しない
サラ(小児科医で検死官)が、ディスレクシアである事に気が付き、、さあどうなるのでしょう。
上巻は、田舎町の閉鎖的な空気の中、サラと因縁の深いレナが関わった事件から
自殺や次の殺人が起こり、ウィルがアトランタから派遣されてくるものの、なかなか捜査が進展しません。
下巻は、トントンと新事実が明るみに出て来て、点と線が繋がりはじめ一気に結末へと進みます。
その間に、ウィルの過去や、サラの家族、死別した夫、などのエピソードが織り交ぜられ
次のシリーズに引き継がれていくのでしょう。
最初は読みにくく、各キャラは奥深く魅力的でしたが、構成に無理があったり
トリックが稚拙でなし崩しな印象のある、ウィル・トレントのシリーズでした。
それが、ブラック&ホワイト 2019年あたりで一気に面白くなって来て、これからが楽しみなシリーズに。
ウィルとフェイス、上司のアマンダ、サラ、などの関係性もバランスがいいです。