「父を撃った12の銃弾」ハンナ・ティンティ:著 文藝春秋
ストーリー
ひとところで落ち着かない生活で、娘は学校で変わり者として扱われるように成長していく。
娘のため父は亡くなった母の故郷、マサチューセッツ州オリンパスに腰を落ち着けるが
よそ者を受け付けない小さな街に、そして母方の祖母にもなかなか馴染めなかった。
父ホーリーの体には複数の銃弾の後があり、過去は謎のままだ。
母のリリーがなぜ死んだのか、二人はいつどこで出会ったのか、父と祖母との確執の原因はなんなのか。
成長した娘ルーの恋愛や、街の人間との違和感、父の謎めいた過去が
美しい自然広がる海辺の生活とともに進んでいくロードノヴェル。
プラス情報
ハンナ・ティンティ
マサチューセッツ州セーラム育ち。書店や出版社など経て2005年短編集 ANIMAL CRACKERS で作家デビュー。ブルックリン在住。
アメリカ最高のミステリーに与えられるエドガー賞最優秀長編賞最終候補。
読むネコポイント
読み始めて思ったのは「あれ、思っていた感じと違う?!」でした。
そもそもなんで読み始めたんだっけ?と思い返すと、題名が良かったから、という山勘のような理由でした。
お話は、ロードムービーを思い起こさせる、映像が浮かびやすい描写が魅力です。
米国を流れものとして労働しては移動する父親と娘が、砂だらけの荒野をトラックで駆け抜けたり
雪深い所で厚着をして寒さを凌いでいる様子をすぐ想像してしまいました(そんな描写は作中にないにも関わらず)。
深入りした関係が苦手で、周囲にサヨナラも言わず、ある日突然旅立つ父。
娘のルーは安ホテルを転々と移動する生活の中で、一風変わった子に育ちます。
友達はいないし、女の子らしいことよりも拳銃に興味を持つ子供。
当然学校では煙たがられ、仲間外れにされより独りを好むように。
要するに、父親ホーリーとそっくりに育っていきます。
父はルー見て、定住して毎日学校にきちんと通う生活をしようと、母リリーの故郷に定住することにしますが
これまで自由に束縛なく生きていきた二人は、街に馴染めず人間関係も拗らせまくります。
父の漁師仲間と揉め、村八分にされ、ルーは学校でいじめられるように。
伝統ある村の祭りで、父が英雄となり全てが解消されたりで、ようやく二人にも落ち着いた生活が訪れます。
恋人らしきマーシャルとのぎこちないデートや、偶然再開した祖母との交流を経て、
ルーは父の体の銃傷や母の死に疑問を持ち始めます。
ルーの青春成長ストーリーとともに、若きホーリーの過去が、交互に展開していくお話です。
終焉には、父の過去とルーの現在が結びつく「あっ」という事件が。
そうです、私はミステリーだと思って読み始めたんですが、これはいかにもアメリカのエドガー賞っぽい
青春ロード小説 + 謎ときもほんのちょっと、、といった具合のノスタルジックな後味の小説でした。
そりゃ初見に「あれ、思っていた感じと違う?!」だわな www
個人的にはマーシャルの魅力がゼロで、なんでルーが好きになったのかが???
アメリカ人にしか分からない感覚なんだろうか 謎です