「アウシュビッツのタトゥー係」は残酷な中にも煌めく愛を感じる本

アウシュヴィッツのタトゥー係ヘザー・モリス著:金原瑞人訳 :笹山裕子東京:双葉社

「アウシュビッツのタトゥー係」ヘザー・モリス :著 双葉社

ストーリー

第二次世界大戦下のアウシュヴィッツ強制収容所に送られたスロバキア出身のユダヤ人「ラリ」。
収容者に鑑識番号の刺青を入れるタトゥー係となることと引き換えに「必ず生きて、この地獄を出よう」と心を決める。

普段刺青を入れる時に顔は見ないラリだが、ある女性の顔を見て恋に落ちる。

死と隣り合わせで、病気、事故、非人道的行為などが日常化していく中、ギリギリの精神状態で1日1日をラリは生き延びていく。
ギダとの恋、所外のドイツ人との触れ合い、物品調達など、収容所内のささやかな人間らしさとリアルな様子が綴られていく。

そしてついに訪れるドイツの崩壊とともに収容所は未秩序に。人々は逃げ出しチリジリとなりギダとも離れ離れになってしまう。

残酷な環境下でも人間の尊厳を守るため、ラリが闘いぬく、愛と信念のストーリー。
タトゥー係の本人の証言をもとに、小説化。



プラス情報

英国で130万部、全世界で300万部突破のベストセラー
2020年、映像化決定



読むネコポイント

主人公ラリは、苦しい立場でも「ひとりを救うことは、世界を救うこと」と考え、周りの人を救おうと行動する。
人の限界を超える収容所の中の様子は、厳しい。
そんな中でもギダとの恋は心が温まるものがあった。

読みやすい文章で、一気に読み進められる本です。

離れ離れになったギダとどうなるのか、、、

巻末に主人公の写真が掲載されていて、なんだかすごく救われましたよ。

実話ベースなのが重いかなと読む前は思っていたが、そんなことは全然なかったです。
悲惨な歴史の勉強にもなるので、読み継がれるといいのですが。