「天使と嘘 上下」マイケル・ロボサム:著 早川書房
ストーリー
【 英国推理作家協会賞最優秀長篇賞受賞作 】
臨床心理士のサイラスが、精神的に問題のある子供が集められた児童養護施設で出会った少女イーヴィ。
少女にも妖艶な女性にも見え、頭の回転が早い彼女にサイラスは興味を覚える。
イーヴィの過去は凄惨極まりないもので、彼女の特殊な能力「人の嘘を見抜く力」とともに、
彼女が精神病院内で一生過ごさねばならない理由になりえた。
イーヴィの境遇と能力に感情を揺さぶられ、サイラスは里親になる決心をする。
サイラスは、有名スケーターの少女が殺された事件の捜査で警察に協力することになり、二人は否応なしに事件に巻き込まれていく。
プラス情報
マイケル・ロボサム
生か、死か (ハヤカワ・ミステリ) 英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞
読むネコポイント
全然期待なく読み始めたんですね、、いやいやテンポも良いし重すぎる内容にも関わらず
割合にライトな感じでサクサク面白く読めました。上巻は!!
まず、主人公サイラスは臨床心理士なんですが、実は本人も子供の時に
血の繋がった兄が、サイラス以外の家族(父、母、双子の妹)を皆殺しにしたという事件被害者でありました。
想像を絶する人生を生きてきたわけです。
そんなサイラスは、影をまとった不思議ちゃんのイーヴィに何か通じるものがあったんでしょうか。
イーヴィも、凄い過去を背負っています。
家族に捨てられ、誘拐拉致事件被害者として保護されます。
発見されたのは、拉致した犯人が殺害され何ヶ月も腐敗していく家の中で、隠し部屋にいたのを助け出されます。
しかし、本名どころか年齢も不詳、何もわからず。
イーヴィという名を付けられ、戸籍はなく、イギリス検察の保護の元生活しています。
今後、施設を出るには定職を見つけ、住む場所を探さなければいけないけれど、
これまで病院内で暮らしてきた少女が一体どうやって仕事を得ることができるのか、ほとんど無理な状態です。
そこでサイラスが里親に立候補し、共同生活することに。
が、しかーしサイラスが捜査協力する殺人事件に、イーヴィは首を突っ込み始め
情緒不安定だし、社会のルールを察せないため二人の間には衝突が起こります。
家出したイーヴィ、探すサイラス、事件関係者は皆嘘ばかり付いて一向に前に進まず、
新事実が発覚、そしてまた一悶着、と下巻に入るとテンポがだるくなってきます。
詰め込みすぎじゃっ 。。と突っ込みたくなること数回、
この人が犯人なんだろうなぁ、と思った人がやっぱり犯人で、意外性はなかったです。
犯人がごねるし、それも特に意味のあるゴネでもなく、ただただだらだらとエンディングが伸びていく感じでした。
上巻が大変面白かっただけに、下巻のグダグダ感がすごく疲れました。
と言っても、キャラの強さやこれからのシリーズ展開など予想すると、十分期待のできる作品です。
次作はもう翻訳済み出そうで、刊行されるのももう間近でしょう。
伸び代のある作品と期待して、もう少し追いかけて行こうかなと思っています。