「ポリス・アット・ザ・ステーション」エイドリアン・マッキンティ:著 早川書房
ストーリー
1980年代北アイルランドのキャリックファーガスで、麻薬密売人がクロスボウで打たれる殺人事件が発生。
事件は単純なIRAのDAADD(カソリック系自警団)による制裁かと思われた。
しかし、被害者の妻が失踪、そしてショーンと家族は何度も命を狙われる事態に発展する。
ダフィと仲間のクラビーとローソンは上からの圧力や世相の反発から、水面下で事件を追うことに。
迷走する北アイルランドを背景に、ショーンの言動が痛快なシリーズ。
プラス情報
<エイドリアン・マッキンティ>
イギリス北アイルランドのキャリックファーガス生まれ。オックスフォード大学で哲学を学ぶ。2000年頃から執筆活動。
『Dead I Well May B』(2003) 英国推理作家協会(CWA)賞スティール・ダガー賞にノミネート
『レイン・ドッグズ』(2016) アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀ペイパーバック賞
<刑事ショーン・ダフィシリーズ>
コールド・コールド・グラウンド 2018
サイレンズ・イン・ザ・ストリート 2018
アイル・ビー・ゴーン 2019
ガン・ストリート・ガール 2020
レイン・ドッグズ 2021
ポリス・アット・ザ・ステーション 2022
サイレンズ・イン・ザ・ストリート 2022 10月末発売
読むネコポイント
前作のレインドックスを初めて読みまして、「これは面白い!!」とシリーズの最初から改めてリスタートしているところ
出ました第6段、本作「ポリス・アット・ザ・ステーション」です。
北アイルランドが揉めに揉めていた殺伐とした時代、首都ベルファスト郊外の田舎町キャリックファーガス
荒れた地区の団地で、麻薬の売人が殺されます。
凶器は「なんでーー??」って感じの時代錯誤のクロスボーです。弓と矢ですね。
更にこの殺人の前に、同じ手口で麻薬の売人が重傷を負う事件が起きているのが判明。
警察上層部は、犯人は犯行声明らしきものを出したIRA(アイルランド共和軍)のDAADD(カソリック系自警団)で
未解決事件としてさっさと終わらせたい、、、のですが
そこはへそ曲がり正義感の塊『ショーン・ダフィ』の登場で、粘る粘る W
事件は大きな社会的背景を匂わせるものへと転じていきます。
今回はブルガリアという南欧の不思議な知られざる側面を覗かせる大使館員や、
後ろ暗いことを隠そうとして余計こんがらかっている被害者の妻エレナ(ブルガリア人)、
次期上司に昇進予定の、とにかく嫌なヤツ、同僚のディエル、
ショーンも非常に面倒臭い熱い男なのですが、更に輪をかけて面倒臭いキャラ揃ってます w
その反面、ショーンの妻”ベス”は本作で開花しました!!
ただのこじらせ女子大生から面白ニュータイプへ!!!
警察の同じチームのクラビーやローソンも、ますますチームワークが良くなり
最後にちょっとヒヤッとする展開がありますが、役割分担もいい感じでまわっており爽快です。
ネタバレがここから少しあります!!
ただのIRA絡みの事件がクライムドラマへ展開していき、
悪事が暴かれ「ああよかった」、、でもなく
これまでの同シリーズ、ショーンが泥を被って(降格処分を受けながら)結末をつけ、
本当に悪い人はMI5が始末する、陽の当たらない場所で罰をくだされる、という後味の悪いエンディングでもありません。
犯人を捕まえた後、更に一転し、なんとハッピーエンドへの道をたどります。
爽快感半端ないですよ!!!!
そっかーーー!
そんな解決方法がーーー!!
成長したじゃないかショーン・ダフィー!!!!
その終点により、次作はすごく広がりますよ、話が。
シリーズは9作目まで刊行されるそうですよ。 楽しみです!!