「警視の謀略」デボラ・クロンビー:著 講談社文庫
ストーリー
ロンドンのセント・パンクラス国際駅で爆破が発生する。
女性刑事・メロディは彼氏のアンディーがバンド演奏するのを見に来て事件に居合わせる。
爆発と火災の中でメロディは、誠実な刑事風の男性と出会うが逸れてしまう。彼は事件のキーパーソンなのか?
ホルボン署のダンカン・キンケイド警視は、抗議活動を行う学生集団がデモで使う予定だった発煙筒が、手榴弾にすり替えられたたことを突き止める。
単純なテロと思われた事件が一転、殺された男は誰なのか、なぜ起きたのか?
ダンカンとジェマの同業者夫婦の、各担当事件が同時に進みます。
プラス情報
デボラ・クロンビー
米国テキサス州ダラス生まれ。後に英国に移り、スコットランド、イングランド各地に住む。現在は再び故郷・ダラス近郊で暮らす。代表作のダンカン・キンケイドとジェマ・ジェイムズのシリーズは、米英のほか、ドイツ・イタリア・ノルウェー・オランダ・ギリシア・トルコでも翻訳され、人気を呼んでいる。引用: 「BOOK」データベースより
<ダンカン・キンケイドとジェマ・ジェイムズのシリーズ14作目>
警視の休暇、警視の隣人、警視の秘密、警視の愛人、警視の死角、警視の予感、警視の不信、警視の週末、警視の孤独、警視の覚悟、警視の因縁、警視の挑戦、警視の哀歌、警視の謀略 (古い順)
読むネコポイント
このシリーズも長いですね。運営者きょまタローは4作前から参加した新参者です。
ダンカンとジェマはいろいろあった末結ばれる子連れ同志の再婚です。更に養子(事件で孤児になった女の子)を迎え
複雑な家族構成ですが、とにかく暖かくて良い家庭なのです。
今回はテロやソシオパスの殺人事件などが進む中、
キンケイド家では子供たちが捨て猫(母猫と生まれたての赤ちゃん猫ら)を保護し
既に2匹の犬に先住ネコがいるので、さてどうなるのか、、と、なんとも微笑ましいやりとりが。
事件のトリックやミステリー色よりも、警察組織の複雑さや立ち回りなど、
仲間、家族などの人との交わりがこの作品の魅力です。実生活に近いんですよね。
とはいえ、ノッティングヒルの高級住宅地に期間限定とはいえ住んでいるし
養子の女の子は超高額な私立保育園に通っているし、ダンカンのママ友はモデルで実業家のパワフルママだったり、
二人とも警察の仕事に誇りを持って有能で、おまけに性格もよくて、、と恵まれた生活をしているのは否めません。
ですが、過去にそれぞれ問題を抱え、それを踏み台に今の幸せを築いていっている様子が、応援したくなる理由かも。
今現在の問題は、前の事件が原因でダンカンが左遷されて閑職扱いなのと、
今回の謎のキーパーソンが、今後の鍵を握ったままで終了し、不安を残した点です。
さてさて、次作も楽しみな作品です。